犬を連れたホームレス 孤独と狂気と共生と

 

この前、縄文時代の犬 は、大切に扱われていたという話を書いた。

 

 

死んだら花を供えてもらえる存在だったと。

 

 

その時代の人々にとって、犬は大事なパートナーであり、

狩猟の相棒として重要な役割も担っていたのだと思う。

 

 

 

隣に寝て同じものを食べる。

文字どおり、寝食を共にした、つながりの深い存在でもあったのだと思う。

 

 

 

人と犬は、この長い年月の中で、どんな関係性を築いてきたんだろう?

 

 

 

犬は家族の一員とか、家族同然という言葉が使われる昨今だけど、

人と犬の関係は、生物学的な共生になるのだろうか。

 

 

 

 

 

共生で有名な、クマノミとイソギンチャク。

 

そこにはある種の利害関係があって、

自然の摂理として、生命維持のためにお互いが必要だからそこにいるという関係性なのだろうけど、

 

犬と人間の場合はどうなんだろう?

 

 

 

 

今では、狩猟のお手伝いをする必要もなくなった犬を、

私たちはなぜそばに置いて、生活を共にするんだろう?

 

 

 

 

サンタモニカやロサンゼルスでは、ホームレスの人の増加が著しいと言われる。

 

 

 

信号待ちをしている車が停まるポイントだったり、

人通りが多い街角だったりで、

”NEED HELP FOR FOOD” などと書かれた段ボールを持って立っている人々を見かける。

 

 

 

 

そんなホームレスの人の横に、犬がいることが少なくない。

 

 

 

 

 

自分の糊口をしのぐのでさえ大変な思いをしているだろうに、

何故わざわざ犬を連れ歩くのだろう、と最初は思っていた。

 

 

自分一人の飢えをしのぐことに専念した方がたやすくお腹も膨れるだろう。

犬がいたら、余計に食べ物だって必要になるだろう。

 

なのにどうして犬を飼うんだろう?と。

 

 

 

 

 

社会からある意味ドロップアウトして、

孤高の道を歩むことに決めて、隠遁してしまった人々は、

人と一言も言葉を交わすことすらない一日を過ごしたりするんじゃなかろうかと思う。

 

 

 

 

 

 

そういえば私は、夫が急死した家で、一緒に暮らす猫たちのことばかり考えていた。

 

猫に話しかけ、猫と会話していた。

 

 

 

もちろん、一人暮らしとはいえ、一歩家の外に行けば

仕事や趣味のコミュニティーに属しているわけだから、

誰とも一言の言葉すら交わすことなく暮れる日は、ほぼ無い訳だけど、

そうであっても、家では孤独な私にとって猫の存在は大きなものだった。

 

 

 

誰とも何の繋がりも持たない生活が、人にとってどれほど拷問となるか。

 

 

 

 

ホームレスの人たちがまとまって暮らしているエリアもあるから、

そこには独自のコミュニティーが存在しているのだと思う。

 

 

ホームレス生活を経験したことがある人の話では、

朝、バナナが自分のテントの前に置かれていたりするそうで、

それを置いてくれるのも実は同じホームレスの人なのだとか。

 

 

 

 

大きなホームレスエリアで、ホームレスの人たちに食事をサーブするボランティアをしてきたウチの娘。

 

 

薬物に走っておかしくなってしまった人も多い一方で、

壮大なホームレスエリアには犬も沢山いたという。

 

 

 

 

無償の愛で応えてくれる犬が側にいることで、

犬に向かって心情を吐露することによって、

 

きっと、薬物に頼らず、狂気に身を任せず、

正気を保つことができているんじゃないだろうか。

 

 

 

食べ物を半分に分けあってでも、一緒にいることで自分が救われる。

 

異なる「種」の間で、こんな心の交流ができる存在。

 

 

 

共生関係というのは、生物学的には必ずしも双方にメリットがある場合だけではないそうだ。

 

片方だけにベネフィットがあるけど、もう一方は何の得にもならない場合とか、

共生されることで、一方がリスクを被る場合もあるらしい。

 

 

 

 

人と犬は、どんな共生関係なのだろう。

 

人だけが癒されて、犬は不幸なのだろうか?

 

いや、必ずしもそうではないと思いたい。

 

犬たちは犬たちで、人と共にあり、人を喜ばせることによって幸せを感じているのだろう。

 

 

 

それぞれの人と犬によって、人と犬の数だけ違った共生関係が存在しているのだろう。

 

 

 

今度、犬を連れたホームレスを見かけたら、
犬と一緒に何か食べてねと、
少しだけ勇気を振り絞って、少しだけお金を手渡してみようと思った。

 

 

 

 

 

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